MedeA
(材料設計支援統合システム)
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title:{概要}
概要
MedeAが提供する計算環境
MedeAは、材料設計のための統合的な計算環境を構築するためのソフトウェアです。既存の分子設計ソフトウェアに見られる「計算ソフトウェアのインターフェース」の枠から脱し、「データベースやネットワークの技術を融合し、シミュレーションを効率的に行うための統合環境」としてデザインされています。
MedeAが提供する計算環境では、バンド計算を基に、金属・セラミックス・半導体などの材料に対する、構造評価、光学物性、磁性、熱力学物性、弾性、振動、電子伝導性といった物性を評価することができます。また、モンテカルロ計算や分子動力学計算を利用することで、流体や高分子を対象にして熱力学物性や相平衡、粘性、熱伝導性、拡散を評価することができます。
MedeAは、計算プログラムやその結果を基に物性値を導くツールを組み合わせて、物性評価を行います。研究の目的に適したツールを組み合わせることで、効率的な計算環境を実現することができます。

パンフレット
ニュースレター
MOLSISニュースレターに掲載した記事を電子ブックで閲覧できます。
開発元ウェブサイト
MedeAの開発元である Materials Design社ウェブサイト もあわせてご覧ください。

title:{支援環境}
支援環境
基本環境 MedeA Environment
MedeA の基本環境 (MedeA Environment) は、モデル構造の構築や計算設定、計算結果の解析を統一されたグラフィカルユーザインターフェース上で作業するための環境を提供します。
MedeA は、この基本環境MedeA Environment を軸に、計算プログラムや物性値を推算するためのツールを組み合わせて計算環境を構築できます。

データベース管理ツール InfoMaticA
MedeAはデータベースを管理するためのツール (InfoMaticA) を搭載しています。
結晶構造データベース(COD、ICSD、NCD、PCD)から結晶構造を検索し、詳細な構造情報を閲覧することができます。検索した構造は、MedeA 上にグラフィカルに表示することができるので、構造構築に要する手間を大幅に軽減できます。

ジョブ管理ツール Job Server / Task Server
MedeA は、ネットワーク技術を融合したジョブ管理機能 (Job Server / Task Server) を搭載しています。
独自のキューイングシステムにより、ネットワーク上のマシンを利用し、ジョブの割り当てや計算の回収を自動的に行います。効率的な計算環境を構築するための強力なツールです。
Job/Task Server は、Grid Engine、PBS、LSF といった外部のキューイングシステムと連携することもできます。既存のシステムで構築されたキューを利用して、マシン管理を行うことが可能です。

ハイスループット機能
MedeA HT-Launchpad
HT-Launchpad は、予め用意された大量の構造モデルに対して一律の条件下で自動的に計算を処理するためのツールです。機械学習などに用いるデータ作成に威力を発揮します。

MedeA HT-Descriptors
MedeA HT-Descriptorsは、Structure listに収められた各構造に対して記述子を定義し、その値を算出します。記述子は、弾性定数のような計算から得られる物性値の関数として、あるいは内包する遷移金属原子の配位数といったトポロジカルな値の関数として定義することが可能です。


title:{構造構築}
構造構築機能
構造構築基本機能
MedeAはグラフィカルユーザインターフェース上で、構造モデルを構築・編集することができます。結晶構造や分子構造をマウス操作で柔軟にモデリングできます。また、研究で利用する際に有効な様々な支援ツールを装備しています。
・スーパーセル構築機能 Supercell Builder
・表面モデル構築機能 Surface Builder
・置換モデル構築機能 Substitutional Builder & Random Substitutions
・空孔探索機能 Empty Space Finder
・ナノ粒子モデル構築機能 Nanobuilder
・高分子モデル構築機能 Polymer Builder


界面モデル構築機能 Interface Builder
界面モデルを構築するには、バルクモデルから表面を切り出し、 2つの表面モデル間で格子の大きさや位置を調整する必要があります。これらの作業を手作業で行うのは非常に煩雑です。しかしながら、本ツールInterface Builderを利用することで、2つの表面モデルを用意するだけで、自動的に表面の対称性を考慮し、その表面間の界面モデルを網羅的に生成することができます。

遷移状態探索ツール Transition State Search
TSSは、化学反応や拡散現象などにおけるエネルギープロファイルと遷移状態構造を探索するためのツールです。 表面の吸着・解離反応や拡散のエネルギー障壁の評価に利用することもできます。
エネルギーと構造を評価するための第一原理電子状態プログラムとして、VASP を使用します。

アモルファスモデル構築ツール Amorphous Materials Builder
アモルファス構造モデルを構築します。指定した密度の凝縮相を作成することができます。 バルクの重合体、ポリマーブレンド、電解質、低分子溶液など、様々なモデル構造を作成することができます。
熱硬化性樹脂モデル構築ツール Thermoset Builder
エポキシ樹脂などの3次元架橋構造を密にもつ熱硬化性樹脂をモデリングするためのツールです。Amorphous Materials Builderと併用し、実験で観測される架橋密度を再現する歪の少ない架橋モデル構造を構築することができます。

ドッキングツール Docking
ドッキングシミュレーションを行うツールで、ホスト-ゲスト構造モデルを自動的に計算して構築します。メトロポリスモンテカルロ法によってvan der Waals相互作用を即座に評価し、安定な構造を探索します。モンテカルロステップでのゲスト構造の変位や回転の大きさを指定することができます。表面モデルや多孔質モデルなどの構造構築に利用できます。
title:{計算プログラム}
計算プログラム
多様な物性推算に対応すべく各種計算プログラムをサポートしています。
・第一原理電子状態計算プログラム MedeA VASP
・分子動力学計算プログラム MedeA LAMMPS
・モンテカルロ計算プログラム MedeA GIBBS
・フェーズフィールド法計算プログラム MedeA PhaseField
第一原理電子状態計算プログラム
MedeA VASP
MedeAは、第一原理電子状態計算プログラムとして、VASP(*1)を搭載しています。VASP は、密度汎関数法を用いた平面波- 擬ポテンシャル法電子状態計算プログラムです。Blöchl のProjector Augmented Wave(PAW)法によるポテンシャルライブラリを実装しており、高速で精度の高い計算を実現します。安定構造や遷移状態構造の最適化、拡散パスの検討、反応解析など様々な問題に適用されています。
*1). VASP(Vienna Ab initio Simulation Package)はウィーン大学で開発された第一原理電子状態計算プログラムです。
G. Kresse and J. Furthmüler, Phys. Rev. B 54, 11169 (1996); Computat. Mat. Sci. 6, 15 (1996).
G. Kresse and D. Joubert, Phys. Rev. B 59, 1758 (1999).

MedeA VASPの機能
内殻電子の取扱い;
・PAWポテンシャル
汎関数;
・密度汎関数
・Van der Waals 密度汎関数(optB86b-vdW等)
・Meta-GGA(revTPSS, TPSS, M06-L, MBJLDA)
・ハイブリッド汎関数(PBE0, HSE06, B3LYP)
・Screened exchange
・Hartree-Fock
交換相関ポテンシャル;
・局所密度近似(LDA)
・一般化密度勾配補正(GGA-PBE, GGA-PBEsol等)
分散力補正;
・DFT-D3, DFT-D2(Grimme)
・Tkatchenko-Scheffler
局在クーロン相互作用(LDA+U)
Monkhorst-Pack の特殊点法によるk 点の自動発生
Brillouin 領域での積分と占有電子の取扱い;
・Tetrahedron 法(Blöchl の補正)
・Smearing(Gaussian、Fermi、Methfessel-Paxton)
スピン分極、スピン軌道相互作用、ノンコリニア磁性
高精度電子状態;
・GW近似
・MP2法
・ACFDT-RPA
・Time-dependent DFT
第一原理分子動力学計算;
・ミクロカノニカルアンサンブル (NVE)
・カノニカルアンサンブル (NVT)
・等温等圧アンサンブル (NPT)
機械学習力場計算(MLFF);
・On-the-fly MLFFによる機械学習ポテンシャル
溶媒効果(Implicit model)
MedeA VASPで計算できる物性
全エネルギー、生成エネルギー
力、応力テンソル
格子定数と原子座標の同時緩和
バンド構造 状態密度 (全状態密度、部分状態密度)
電荷密度、静電ポテンシャル
スピン密度 ELF (Electron Localization Function)
原子座標、静電場の変化に対する線型応答;
・誘電テンソル
・ピエゾテンソル
・ボルン有効電荷テンソル
弾性テンソル
光学スペクトル;
・誘電関数
・屈折率
・吸収係数
・反射率、透過率
・伝導率
超微細構造定数
NMR化学シフト
拡張物性推算ツール
各種物性推算ツールと組み合わせることで、VASPの計算を基に様々な物性を評価できます。
・電子状態解析ツール MedeA Electronics
・格子振動計算ツール MedeA Phonon
・弾性特性評価ツール MedeA MT
・クラスター展開法ツール MedeA UNCLE
分子動力学計算プログラム
MedeA LAMMPS
LAMMPS(*2)は、サンディア国立研究所(米国エネルギー省)によって開発されたプログラムで、世界中の様々な研究分野で利用されています。フローチャート機能によるタスク制御で、平衡化計算を柔軟に設計でき、さらに各種物性推算ツールと組み合わせることで、熱伝導性や拡散等を評価できます。
*2). S. Plimpton, J. Comp. Phys., 117, 1 (1995); http://lammps.sandia.gov/index/?taxonomy=product_details-content

MedeA LAMMPSの機能
アンサンブル;
・ミクロカノニカルアンサンブル(NVE)
・カノニカルアンサンブル(NVT)
・定圧アンサンブル(NPT)
ポテンシャル;
・有機分子・高分子用: OPLS-AA、PCFF、COMPASS(Published only)、CFF91、CFF93、CVFF
・無機物・酸化物用: Inorganic、CVFF_AUG、BKS
・半導体用: Stillinger-Weber、Tersoff
相互作用エネルギーの評価;
・静電相互作用(Cutoff、PPPM、Ewald)
・遠距離相互作用のカットオフに対する補正
MedeA LAMMPSで計算できる物性
純物質・混合物における流体の物性;
・圧力
・体積、密度
・エネルギー
物性推算ツール
各種物性推算ツールと組み合わせることで、LAMMPSの計算を基に様々な物性を評価できます。
・熱伝導性評価ツール MedeA Thermal Conductivity
・粘性評価ツール MedeA Viscosity
・拡散係数評価ツール MedeA Diffusion
・凝集エネルギー密度評価ツール MedeA CED
・弾性特性・熱力学物性評価ツール MedeA MT
モンテカルロ計算プログラム
MedeA GIBBS
GIBBS は、気体・液体の熱力学物性をモンテカルロ法により推算するプログラムです。 低分子の液液・気液平衡や、低分子・長鎖のナノポーラス物質への吸着現象など、様々な系に適用することができます。

MedeA GIBBSの機能
アンサンブル;
・カノニカルアンサンブル(NVT)
・定圧アンサンブル(NPT)
・グランドカノニカルアンサンブル(μVT)
・ギブスアンサンブル(定積、定圧)
ポテンシャル;
・OPLS-UA
・TraPPE
・Anisotropic United Atom (AUA)
相互作用エネルギーの評価;
・分散・反発相互作用(Lennard-Jones、Buckingham)
・交差項には4 つの混合ルールが適用可(Lorentz-Berthelot、Kong、Waldman-Hagler、geometric)
・静電相互作用(Cutoff、Reaction Field、Ewald)
・遠距離相互作用のカットオフに対する補正
分子自由度;
・剛体モデル
・フレキシブルモデル
・半剛体モデル
分子移動手法;
・Configurational Biased モンテカルロ法による長鎖の取り扱い
・リザーバーバイアス法によるフレキシブルモデルの取り扱い
MedeA GIBBSで計算できる物性
単一層における熱力学物性;
・圧力、体積、密度、熱容量、熱力学関数等の温度変化
・化学ポテンシャル
・Joule-Thomson 係数
相平衡;
・気液平衡(VLE)、液液平衡(LLE)
・気液液平衡(VLLE)
・蒸気圧曲線
ナノポーラス物質への分子の吸着現象;
・吸着等温線
MedeA GIbbsの適用事例
faujasiteへの吸着による m-キシレンと p-キシレンの分離を検討した結果(図);
気相中の p-キシレンのモル分率に対する固相中の p-キシレンのモル分率 (X-Y 図)を推算した結果は、実験結果をよく再現しています(*3)。
*3). V. Lachet. Boutin, B. Tavitian, and A. H. Fuchs, Langmuir 15, 8678(1999).

フェーズフィールド法計算プログラム
MedeA PhaseField
MedeA PhaseFieldは、内部組織の微細構造を2次元あるいは3次元系として取り扱い、フェーズフィールド法を適用するツールです。幅広いサイズ・時間スケールでの取り扱いが可能で、金属やセラミックス、その他の材料における微細組織の時間発展を追うことができます。
・自由エネルギーや拡散係数、界面エネルギーなど、MedeA VASPやMedeA LAMMPSを用いた第一原理計算や分子動力学計算の結果から得られる物性を入力値として使用することができます。
・粒界における拡散や弾性変形の効果を考慮することができます。
・周期的/カラムの境界条件を取り扱えます。
・有限要素のメッシュおよび時間刻み幅は、最適な収束状況となるよう、計算過程での数値安定性を鑑みながらアダプティブに変化します。

title:{力場}
力場機能
MedeAは、PCFF+をはじめとした力場パラメーターを標準的に装備しています。金属用にはEAM(Embedded Atom Method)力場もサポートします。
既存力場のパラメーターをフィッティングをする機能(Forcefield Optimizer)のほかに、機械学習ポテンシャル(MLP/MLPG)機能も装備しています。
EAM力場パラメーター
MedeA EAM
EAMは、Embedded Atom Method(原子挿入法)による力場です。金属を扱うのに適した力場で、第一原理計算で扱うには負荷の大きい大規模な系を分子動力学計算で扱うことができます。
Zhouらのパラメータ(*1)をサポートしており、各種金属(Cu, Ag, Au, Ni, Pd, Pt, Al, Pb, Fe, Mo, Ta, W, Mg, Co, Ti, Zr)を扱うことができます。
*1). X. W. Zhou, R. A. Johnson, H.N.G. Wadley, Phys. Rev. B. 69, 144113 (2004)

力場最適化ツール
MedeA Forcefield Optimizer
FFO( Forcefield Optimizer )は、第一原理計算の結果を基に力場パラメータを最適化するツールです(*4)。新規の系に対して力場パラメータを最適化して、力場計算によるシミュレーションを可能にします。 トレーニングセットを作成するために第一原理計算プログラムMedeA VASP を使用します。最適化された力場パラメータを検証するために分子動力学計算プログラムMedeA LAMMPS を使用します。

FFOの機能
第一原理計算分子動力学計算の履歴から各ステップの情報を抽出:構造、エネルギー、力、応力
どの力場パラメータを最適化するか選択可能
遺伝的アルゴリズムおよび最小二乗法によるパラメータの最適化
最適化された力場パラメータはファイルとして保存され、力場計算に利用可能
最適化可能な力場形式:PCFF+, Buckingham, EAM, Tersoff
*4). Forcefield Optimizerの方法論については次の文献を参照ください。
R. Asahi, C. M. Freeman, P. Saxe and E. Wimmer, Modelling Simul. Mater. Sci. Eng. 22, 075009 (2014).
M. Christensen, W. Wolf, C. Freeman, E. Wimmer, R. B. Adamson, L. Hallstadius, P. E. Cantonwine, E. V. Mader, Journal of Nuclear Materials 460, 82 (2015).
機械学習力場セット
MedeA MLP
MedeA MLP は機械学習ポテンシャルの使用環境を提供します。Spectral Neighbor Analysis Potentials(SNAP)、Neural Network Potentials(NNP)およびAtomic Cluster Expansion(ACE)をサポートしています。また、SNAP ポテンシャルはZiegler–Biersack–Littmark(ZBL)ポテンシャルとの併用が可能です。
機械学習力場生成機能
MedeA MLPG
MedeA MLPG はMedeA MLP で使用するポテンシャルパラメーターを作成するためのツールです。MedeA に搭載されるStructure list 機能を使い、トレーニングセットを簡潔にまとめ、MLPG に受け渡すことができます。トレーニングセットの作成およびフィッティングは、ハイスループット(MedeA HT) 機能を使い効率的に実行できます。トレーニングセットのデータ作成にはMedeA VASPを用います。

title:{物性推算}
物性推算ツール
MedeAは、第一原理計算や分子動力学計算の結果を基に、各種物性を自動的に評価するツールを装備しています。
第一原理計算に基づく物性推算ツール;
・格子振動特性・熱力学物性評価ツール MedeA Phonon
・弾性特性・熱力学物性評価ツール MedeA MT
・電子状態解析ツール MedeA Electronics
・クラスタ展開法ツール MedeA UNCLE
分子動力学計算に基づく物性推算ツール;
・格子振動特性・熱力学物性評価ツール MedeA MD Phonon
・弾性特性・熱力学物性評価ツール MedeA MT
・熱伝導性・粘性評価評価ツール MedeA Thermal Conductivity & Viscosity
・拡散係数評価ツール MedeA Diffusion
・凝集エネルギー密度評価ツール MedeA CED
・堆積シミュレーション MedeA Deposition
・表面張力計算 MedeA Surface Tension
構造物性相関ツール;
・定量的構造物性相関ツール MedeA P3C
・高分子構造探索ツール MedeA Polymer Expert
・構造物性相関ツールボックス MedeA QT
格子振動特性・熱力学物性評価ツール
MedeA Phonon
Phonon は、格子振動特性を計算するためのツールです。振動エントロピーを取り入れた自由エネルギー等、熱力学物性を評価することができます。MT ツールと組み合わせて相安定性の検討、圧力下での計算、表面への適用など、様々な使い方が可能です。

手法
Phonon では、ダイレクトアプローチ (*1)と呼ばれる方法で計算を行います。この方法では、十分な大きさのスーパーセルを構築し、そのスーパーセル内の各原子を動かし、その力の変化を第一原理計算で算出し、2 次微分行列を構築、フォノン特性の計算を行います。 力の計算を行うための第一原理計算プログラムとして、VASP を使用します。
以下の処理を自動的に行い、Phonon 計算を実行します。
・計算の詳細パラメータ入力(VASP 計算の設定を含む)
・対称性の決定
・スーパーセルと原子を変位させた構造の自動作成
・2 次微分行列の構築、プロパティの計算
*1). K. Parlinski, Z. Q. Li, Y. Kawazoe, Phys. Rev. Lett., 78, 4063(1997).
物性
フォノン分散曲線
フォノン状態密度
振動モードのアニメーション表示
Γ点におけるフォノン振動の振動数と対称性の解析
零点振動エネルギー
定積熱容量、内部エネルギー、エントロピー、自由エネルギー
IR/Raman スペクトル
分子動力学によるPhonon計算
MedeA MD Phonon
MD Phononは、分子動力学計算の結果から速度自動相関関数を求め、そこから振動の状態密度を算出します。得られた状態密度を基に、ヘルムホルツ自由エネルギーをはじめとした熱力学諸量を計算します。
計算には分子動力学計算プログラムとして、MedeA LAMMPSを利用します。

弾性特性・熱力学物性評価ツール
MedeA MT
MT ツールは物質の弾性・熱力学物性を計算するためのツールです。デバイ近似のもと、弾性定数ほか、自由エネルギーや熱容量といった熱力学物性を評価することができます。

手法
固体の格子振動を連続弾性体の弾性波動として近似(デバイ近似)し、固体の弾性を計算します。対象となる結晶構造に対して歪みを与え、その応力変化から弾性定数を計算、続いて諸物性の計算を行います。
応力を計算するための第一原理計算プログラムとしてVASP、 あるいは分子動力学計算プログラムLAMMPSを使用します。
以下の処理を自動的に行い、MT 計算を実行します。
対称性の決定
対称性を考慮した独立な弾性定数の決定
指定した値で歪みを与えた構造の自動作成
全ての構造に対する応力の計算
剛性行列計算ならびに各プロパティの計算
物性
結晶物質の弾性定数
弾性コンプライアンス行列と弾性定数行列
多結晶の弾性率(Voigt, Reuβ, Hill の方法 (*3))
多結晶の音速
デバイ温度
定積熱容量、エンタルピー、自由エネルギー
Debye-Grüneisen 近似下での熱膨張係数
MedeA MTの適用例
クォーツは代表的な鉱物で、応用分野は圧電材料や半導体デバイス等広い範囲に及びます。 MTを用いた計算では、クォーツ(二酸化ケイ素)の弾性定数について実験との良い一致を示しています。


*1). Landolt-Bornstein, Vol. 29, Eds. A. G. Every and A. K. McCurdy, Springer-Verlag, Berlin/ Heidelberg/New York 1992.
*2). Y. Le Page and P. Saxe, Phys. Rev. B 65, 104104(2992), Y. Le Page, P. Saxe and J. R. Rodgers, phys. stat. sol. (b) 229, 1155 (2002).
*3). O. L. Anderson, J. Phys. Chem. Solids, 24, 909 (1963).
電子状態解析ツール
MedeA Electronics
第一原理電子状態計算の結果を詳細に解析するためのツールです。バンド構造を解析することで各種電子物性を計算します。また、フェルミ面のグラフィカルな表示も可能です。
第一原理電子状態計算プログラムとして、VASP を使用します。
物性
バンド構造図の3次元表示(フェルミ面の表示)
逆格子空間上での任意の点における各バンドの有効質量の計算
電気伝導率、Seebeck係数、熱伝導率、ホール係数、電子比熱、Pauli常磁性磁化率
クラスタ展開法ツール
MedeA UNCLE
UNCLE(UNiversal CLuster Expansion, *1)は、クラスター展開法に基づいた物性推算ツールです。合金や固溶体等といった不規則に構成原子が配列した物質の特性を第一原理計算法の精度を保ちながら、効率よく計算することができます。第一原理計算プログラムとして、VASP を使用します。
物性
安定相の構造と基底状態ダイアグラム
空孔密度
溶解度
混合エネルギー
相安定性の温度・濃度依存性
秩序・無秩序転移温度
*1). D. Lerch, O. Wieckhorst, G. L. W. Hart, R. W. Forcade, and S. Muller, Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering 17, 055003 (2009).
熱伝導性・粘性評価ツール
Thermal Conductivity & Viscosity
Thermal Conductivity・Viscosityは、古典的な分子動力学計算を基に、純物質・混合物の流体の熱伝導性・粘性を計算するツールです。
計算には分子動力学計算プログラムとして、LAMMPSを利用します。
物性
熱伝導性/粘性の評価
平衡系の分子動力学に基づくGreen-Kuboの方法
非平衡系の分子動力学に基づくMuller-Paltheの方法
拡散係数評価ツール
MedeA Diffusion
分子動力学計算を基に、純物質・混合物の流体の自己拡散係数を計算するツールです。選択した原子の平均二乗変位を計算し、Einsteinの拡散方程式より自己拡散係数を評価します。
計算には分子動力学計算プログラムとして、LAMMPSを利用します。
物性
選択した原子の平均二乗変位
Einstein拡散方程式に基づく自己拡散係数

凝集エネルギー密度評価ツール
MedeA CED
CED(Cohesive Energy Density)は、分子動力学計算を基に凝集エネルギー密度を計算するツールです。SP(溶解度パラメータ)値の評価などに用いられます。
計算には分子動力学計算プログラムとして、LAMMPSを利用します。

堆積シミュレーション
MedeA Deposition
MedeA Depositionは、力場計算により固体表面への原子団の継続的な堆積を自動的に実行します。対象の動的プロセスやメカニズム、原子団と表面の相互作用の解析に威力を発揮します。
計算には分子動力学計算プログラムとして、MedeA LAMMPSを利用します。

機能
・予め定義しておいた原子団を自動的に表面に一定間隔で入射し続けます。堆積させる原子団は複数定義できますので、複数の反応ガスを用いた表面成長のシミュレーションなどが可能です。また、原子団の種類を問いません。原子、分子、クラスターなど使用する力場で定義可能な原子団を指定できます。
・表面にアプローチする原子団の速度、入射角度、発生頻度などを指定することができます。
・PCFF+ に代表される分子内の結合を厳密に取り扱う力場に加え、COMB3 やReaxFF といった反応力場、あるいは金属向けのEAM などさまざまな力場関数をお使いいただけます。計算対象に合わせて最適な力場を選択することができます。
表面張力計算
MedeA Surface Tension
MedeA Surface Tensionは、様々な物質の表面張力や界面張力を計算するツールです。分子動力学計算を行い、表面・海面に対して垂直・水平な応力成分の時間平均から算出します。
計算には分子動力学計算プログラムとして、MedeA LAMMPSを利用します。

定量的構造物性相関ツール
MedeA P3C
P3C(Polymer Property Prediction using Correlations)は、Biceranoの方法論に基づいた定量的構造物性相関(QSPR)ツールです。MedeAがもつ単量体のライブラリから、高分子の各種物性(ガラス転移点、凝集エネルギー、表面張力、誘電率、ヤング率等)を推算します。

高分子構造探索ツール
MedeA Polymer Expert
MedeA Polymer Expertは、MedeA P3C(古典的な構造物性相関)とデータベース技術を組み合わせ、エントリー数110万件を超える大規模な高分子リピートユニットのデータベースに対して、QSPR法の技術を組み合わせて物性値による構造探索を行います。 MedeA Polymer Expertに搭載されるPEARLデータベースには合計110万件を超えるリピートユニットが登録されています。

構造物性相関ツールボックス
MedeA QT
MedeA QTは、定量的構造物性相関(Quantitative Structure Property Relationship, QSPR)モデル構築ツールです。分子スプレッドシートを用いた簡便な操作で記述子の定義から回帰フィッティング、解析まで行うことができます。

title:{適用事例}
適用事例
構造構築機能
結晶構造モデルの構築に便利な機能を紹介します。
第一原理計算
MedeA VASPを用いた金属表面への分子吸着を事例として、van der Waals相互作用を評価できる手法について解説します。
van der Waals相互作用を評価できる手法を用いてグリシン結晶を評価した計算事例です。
MedeA VASPで実装されているHSE06ハイブリッド汎関数を用いてInAsのエネルギーバンド構造を評価します。
MedeA VASPインターフェースに搭載される生成エネルギー自動計算機能について解説します。
MedeAのハイスループット機能を活用して、Slater-Pauling曲線を作成する例です。
格子振動計算
MedeA Phononで算出される自由エネルギーを用いた固体の熱膨張率推算について、fcc Niを例に紹介します。
MedeA Phononの解析機能(熱振動に起因する熱力学諸量やIR/Ramanスペクトルの算出)を中心に解説します。
機械特性計算
MedeA MT(Mechanical and Thermal properties)は、機械物性を評価することができます。差分法による弾性定数計算に加え、各種弾性率、Poisson比などの機械的特性の他、延性・脆性の判定に使えるPugh比などさまざまな物性値を算出します。
MedeA MT(Mechanical and Thermal properties)を用いて、第一原理計算を基にビッカース硬さを推算する機能とその適用事例を紹介します。さらなる展開として、インフォマティクス機能やそのための支援機能もあわせて紹介します。
熱硬化性樹脂のモデリング過程と、構築されたモデルの弾性係数の 評価について、MedeA搭載ツールの適用事例を紹介します。
塑性領域における物性予測のため、応力–ひずみ曲線を算出するツールMedeA Deformationについて、カーボンナノチューブへの適用事例を交えて紹介します。
title:{動作環境}
動作環境
OS
Windows 11(64bit)、Linux(64bit)
CPU
Intel Core i5、i7、i9、Xeon等
AMD Ryzen、EPYC等
メモリ
1core当り1〜4GB程度 VASP計算用には1core当り4GB以上を推奨します。
ディスク容量
MedeAのインストールには、6GB程度必要です。
計算結果の保存用に100GB以上の空き容量があることが望まれます。
Videoカード
128MB以上推奨(OpenGL2.1以上に対応)
Soundカード
必要ありません。
ネットワーク
MPIで並列計算を実行する場合はGbit環境を推奨します。
ディスプレイ
画面解像度1024×800以上
title:{最新情報}
ニュースレター
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セミナー
製品を紹介するためのセミナーを開催しています。
セミナーへの参加は、セミナーページ から申し込みいただけます。
開発元ウェブサイト
開発元(Materials Design社)のウェブサイトもあわせてご覧ください。
・リリースノート
・アプリケーションノート
・チュートリアル動画
・ウェビナー(過去に開催したウェビナーの録画動画)
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