​​​​​​SciMAPS

(材料支援プラットフォーム) 

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title:{概要}

SciMAPSとは

SciMAPS(Scienomics Materials And Processes Simulations)は、外部プログラムとの連携を前提とした、拡張性の高い設計思想を持つ材料設計支援プラットフォームです。SciMAPSは量子化学計算からメソスケール計算まで、時間的にも空間的にも異なるさまざまなスケールの計算科学手法に対応しています。SciMAPSには、使いやすいモデル構築機能、データ解析機能が標準装備され、大学や研究機関で開発された世界的に定評のある先進の計算プログラムを統一された操作で利用できます。 SciMAPSが提供するプラットフォーム上では、高分子の物性の推算をはじめ、低分子や高分子の凝集状態や挙動の解析、分子反応の解析、固体・表面・界面の電子状態の解析等、さまざまな解析が行えます。

SciMAPS_top

モジュール構成

 SciMAPSの各機能は、さまざまなシミュレーションに対して分子モデルを構築する構造構築機能(Build)、計算プログラムとそれに対するインターフェースから構成されるプラグインとして提供されるシミュレーション機能(Simulate)、シミュレーション機能により得られたデータを解析する解析機能(Analyze)、実行したジョブの管理、構造データの入出力、スクリプトを実行など、SciMAPSの根幹となるインフラストラクチャ(Infrastructure)からなります。シミュレーション機能のプラグインは分野ごとにまとめられパッケージとして提供されます。パッケージには量子化学・物理計算(Quantum)、力場計算、メソスケール計算(Classical)、熱力学物性計算、構造活性相関(Engineering)の3つがあります。基本構造構築機能、解析機能、インフラストラクチャ機能からなる基本環境(赤字)に必要に応じてパッケージを追加することにより、研究に最適な材料設計環境をそろえることができます。

SciMAPS_modules

Scienomics社ウェブサイト

​SciMAPS開発元Scienomics社ウェブサイトも併せてごらんください。 

Scienomics_logo

title:{応用事例}

応用事例 

開発元のScienomics社では応用事例、論文リスト、デモ動画、ウェビナーを開発元ホームページにて公開しいます。該当ページをご覧になる場合は下記リンクをご利用ください。
応用事例
論文リスト
デモ動画
ウェビナー(録画)

title:{構造構築}

構造構築 

SciMAPS_構造構築

構造構築機能 ~ユーザの発想をさまざまな構築機能でモデル化~

分子シミュレーションを行うには研究対象となる分子系のモデル化の成否が重要です。近年、シミュレーションの高速化に伴い、より現実系に近いモデル構築が必要になってきています。SciMAPSの構造構築機能は、基本構造構築機能、メソスケール・粗視化モデル構築機能、基本構造を複数組み合わせた複合構造構築機能、架橋構造やカーボンナノチューブを構築する特定構造構築機能の4つからなります。これらの機能を組み合わせることによって、研究対象にマッチした分子モデルを構築します。

基本構造構築

SciMAPS_polymer
  • SKETCHAER
    3Dスケッチおよび分子フラグメントによる分子構築。
  • Polymer Builder
    重合度と繰り返し単位を指定することでホモ、ブロック、ランダムコポリマーを構築。タクチシチーの指定も可能。
  • Crystal Builder
    空間群と部分座標を指定することで結晶構造を構築。
  • Surface Builder
    構築した結晶構造を元にミラー面を指定することで表面構造を作成。

メソスケール・粗視化モデル構築 

  •  MESOSCALE BUILDER
    粗視化分子を登録された粗視化粒子(ビーズ)と3Dスケッチを用いて構築。
  • ​ATOMESO CONVERTER 
    分子を構成する原子をビーズに対応付けることで、全原子モデルの分子を粗視化モデルに変換するツール。
  • MESOATOM CONVERTER
    粗視化モデルを全原子モデルに変換するリバースマッピングの機能。粗視化モデルを構成する各ビーズに対応する全原子モデルのフラグメント構造を指定することで、粗視化モデルから全原子モデルへ変換。 
  • MESOPHASE DPD BUILDER
    メソスケールの散逸粒子動力学用のモデル構築ツール。ランダム、ラメラ、レイヤー、ベシクル、パーティクル(複数のビーズの集合体)などの特定の構造からなる系の作成が可能。  

      複合造構築 

        SciMAPS_AM
      • INTERFACE BUILDER
        2つの結晶構造から界面のモデルを構築。 
      • SURFACE DOCKER
        表面モデル上でエネルギー的に安定な分子配座を探索しモデルを作成。 
      • AMORPHOUS BUILDER
        National Technical University of AthensのDoros Theodorou教授とScienomics社の共同開発によるアルゴリズムCBMC(Configurational Bias Monte Carlo)法を採用した非晶構造構築プログラム。 複雑な分子鎖に対しても、現実に近い密度で自然なモデルを構築することが可能。 

      特定構造

      • CROSS-LINK BUILDER
        LiとStrachanらにより提案された多段階結合生成アプローチ1)と分子動力学計算を組み合わせた架橋構造構築プログラム。モノマーのみで構成されるアモルファス初期構造から、分子動力学計算を行いながら反応点が近づくと結合を生成させ、架橋構造を作成。
      • CARBON NANOTUBE BUILDER
        ナノチューブの構造を構築。キラリティ指定、直径の指定、3次元周期境界モデルにも対応。 


      SciMAPS_complex

      title:{シミュレーション}

      シミュレーション 

      SciMAPS_sim

      シミュレーション機能~先進のプログラム群をサポート~ 

       さまざまなスケールの計算手法に対応したプラグインを分野ごとにまとめたパッケージとして提供します。パッケージには量子化学・物理計算(Quantum)、力場計算、メソスケール計算(Classical)、熱力学物性計算、構造活性相関(Engineering)の3つがあります。それぞれの計算分野で定評のある先進のシミュレーションプログラムに対応しています。

      Classical(分子動力学計算、メソスケール計算) 

      ▢分子動力学 

      MD_2k21

      系を構成する分子モデルの各原子に対して初速度を与え、ニュートンの運動方程式にしたがって系の時間発展を計算します。得られた構造変化の履歴から分子の挙動を解析します。一般的なコンピュータで数万原子まで取り扱うことが可能ですので、低分子から高分子、液体、固体、界面等のさまざまな系の原子レベルでの挙動の研究に利用可能です。拡散定数など時間発展を考慮する必要がある場合に利用します。SciMAPSのサポートするプログラムは、並列化による高速化、遠距離相互作用の高速計算等、最新の手法を多数取り揃えています。 また、粗視化モデルを構築して粗視化力場を割り付ければ、粗視化分子動力学計算も実行できます。

      ◇主な機能 

      • 極小化計算
      • NVE、NVT、NPTの各種アンサンブル
      • VDW相互作用計算 カットオフ法
      • クーロン相互作用計算 カットオフ法、PPPM法、PME法、Ewald法
      • マルチタイムスケール数値積分法(rRESPA法)
      • DREIDING、CFF、AMBER、CHARMMの各力場に対応
      • SDK、Martini、SAFT-γの各粗視化力場に対応

      ◇対応プログラム

      • LAMMPS-Atomistic Plug-in
      • GROMACS Plug-in

      ▢モンテカルロ計算プログラム

      MC_2k21

      モンテカルロ法は、確率的手法を用いて系の状態を出現させることで、系を構成する粒子の分布を求める方法です。分子動力学計算のように時間の概念を考慮できませんが、分子動力学計算では取り扱うことの難しい液液、気液平衡などの相平衡状態やゼオライトへの吸着現象の研究に最適なプログラムです。また、SciMAPSがサポートするプログラムは、効率の良いコンフォメーションを発生する多数のアルゴリズムを用意し、さまざまな力場関数系に対応しています。  

      ◇主な機能 

      • NVE、NVT、NPT、μVT、ギブスの各種アンサンブルに対応
      • CBMC法による効率の良いサンプリング手法を搭載
      • AMBER、CHARMM、DREIDINGの各力場に対応

      ◇対応プログラム

      • Chameleon Plug-in
      • Towhee Plug-in
      • CASSANDRA Plug-in

      ▢散逸粒子動力学 

      DPD_2k21

       複数の原子、分子を1つの粗視化粒子(ビーズ)として表現し、ソフトマターをシミュレーションするプログラムです。散逸粒子動力学計算では、粒子間に働く力を散逸力、ランダム力、保存力の3つからなると仮定し、粒子間の重なりを許容するため、流体の挙動を表すのに適しています。混合液体の相分離構造、ミセルの形成、高分子バルクの多形予測、薬物の放出現象等、分子動力学では扱いが難しいさまざまな流体のシミュレーションを可能にします。

      ◇対応プログラム

      • LAMMPS-DPD Plug-in

        ▢フラグメント間相互作用計算プログラム

        フラグメント間相互作用計算プログラムはMolecular Silverware法による二元混合物の相互作用を計算します。高分子や液体の熱力学物性や散逸粒子動力学計算の相互作用パラメータの推算に利用します。  

        ◇対応プログラム

        • FHMixinig Plug-in

        ▢粗視化パラメータ計算プログラム

        全原子での分子動力学計算で得られた構造や原子上に働く力の履歴データを基に、対応する粗視化モデルのビーズ間の相互作用を調べ、粗視化パラメータ計算手法に基づいて相互作用の値を求めます。最終的に得られるビーズ間相互作用の値はテーブル化した数値データポテンシャルとして出力します。計算手法としては、Iterative Boltzmann Inversion(IBI)法、Force Matching(FM)法の2つが用意されています。 

        ◇対応プログラム

        • VOTCA Plug-in

        Quantum(量子力学計算) 

        ▢第一原理バンド計算

        QE_2k21

        周期境界条件下で密度汎関数法を用いた平面波-擬ポテンシャル法電子状態計算のための量子力学計算プログラムです。時間依存DF T法やGW法、PAW法等、密度汎関数法のさまざまな技術により、バンド構造、状態密度、構造(結合長、結合角、プリミティブセルのサイズと形状等)、凝集エネルギー、誘電特性、振動特性等の計算が可能です。金属、セラミックス、半導体等の固体、表面、界面の研究に最適です。

        ◇対応プログラム

        • Quantum Espresso Plug-in
        • ABINIT Plug-in
        • VASP Interface 

        ▢量子化学計算プログラム

        MO

        非周期境界条件下での量子力学計算プログラムです。HF、MP2、DF T、時間依存DF T、CC法等の計算手法に加え、さまざまな基底関数を選択できますので、ユーザの必要に応じた精度での計算が可能です。電子状態、分子構造(結合距離、結合角、二面角等)、各種スペクトル(赤外、ラマン、可視紫外)等の物性や反応経路におけるエネルギー(遷移状態、エネルギー障壁)の推算に最適です。  

        ◇対応プログラム

        • NWCHEM Plug-in
        • TURBOMOLE Interface 

        ▢半経験的分子軌道法プログラム

         NDDO近似に基づき、実験値を再現するように決められた経験的なパラメータを用いることによって、計算コストをかけずに精度の高い計算を可能にしたプログラムです。非経験的分子軌道法では扱うことのできない大きな分子に対しても非常に高速に計算でき、低分子から数百原子程度の比較的大きな分子までの分子構造や物性の予測に適しています。

        ◇対応プログラム

        • MOPAC Interface
        • MNDO Plug-in 

        ▢遷移状態探索プログラム

        NW_React_2k21

        量子化学計算で得られるエネルギー表面上の遷移状態を探索するツールです。各量子力学計算プログラムで計算されたエネルギーおよびその一次微分の情報を使って、LST(Linear Synchronous Transit)法、QST(Quadratic Synchronous Transit)法およびNEB(Nudged Elastic Band)法が利用できます。  

        ◇対応プログラム

      • TRANSITION STATE LOCATOR 
      • Engineering(熱力学物性計算、情報科学) 

        ▢熱力学物性推算プログラム

        scitherm

        状態方程式の統計会合流体理論Statistical Associating Fluid Theory(SAFT) 1)およびその派生であるPC -SA FT 2)、e PC -SA FT 3)を利用して熱力学物性を推算するプログラムです。ポリマー、コポリマー、電解質等からなる混合物の物性値および相平衡を推算することができます。気液、液液、固液平衡、エネルギー(ギブスエネルギー、ヘルムホルツエネルギー)、エンタルピー、エントロピー、等温圧縮率、熱膨張係数、ジュールトムソン係数、音速、断熱体積弾性率等の物性を推算することができます。

        ◇対応プログラム

        • SciTherm

        ▢薬物溶解度推算プログラム

        PC-SAFT法により複数の純溶媒もしくは混合溶媒に対する薬品の溶解度を計算するためのインターフェースです。  

        ◇対応プログラム

        • SciPharma

        ▢構造活性相関プログラム

        QSAR

         さまざまな物理化学的情報(記述子)と実験値(活性値)との間の相関モデルを構築することのできるプログラムです。複数の記述子の線形和で表される主成分軸を用いたPLS回帰や記述子を自動的に取捨選択する遺伝的アルゴリズムを利用することで、相関モデルを構築することができます。構築した相関モデルにより新規の分子系に対する実験値の予測を行うことを可能にします。GUI上から利用できる記述子計算プログラムとして、PadelとalvaDescの2つがあります。

        ◇対応プログラム

        • QSAR Plug-in
        • ALVADESC DESCRIPTORS 

        title:{データ解析}

        データ解析 

        GRAPHIC_ELEMENTS11

        データ解析機能 ~シミュレーションデータを共通のツールで解析

        SciMAPSは、シミュレーションプログラムによらずスケールや手法に応じた共通のデータ形式でシミュレーションデータを読み込みます。共通形式のデータは解析ツールにより可視化されます。物性解析をする上でシミュレーションプログラムと連携して計算を行うことがあります。このような物性解析は、特定物性解析ツールとして提供されます。

        基本解析ツール 

         TRAJECTORY ANALYSIS

        rdf

        分子シミュレーションの履歴から得られるデータを解析するツールです。平均二乗変位からの拡散係数計算、二体分布関数、回転半径、角度、二面角分布、自由体積、自由表面等、系の特性を解析します。得られた2つのプロパティをそれぞれX軸、Y軸に取ることで相関関数を計算することも可能です。

        VISUAL PROPERTY ANALYSIS

        分子軌道、電子密度、静電ポテンシャル等の等値面の視覚化、基準振動解析の結果のアニメーション表示や矢印による振動モードの表示等、得られた物性値の視覚化のためのツールです。付随して得られる物性値(状分子構造やシミュレーション結果を比較、分析する多目的ツールです。列の非表示や行のフィルタリングをすることで、特定のプロパティを持つ分子や原子グループの選択を可能にします。選択した原子、分子のみ表示することで特定の構造を調べることが可能です。態密度、バンド構造、フォノン、IR/RAMANスペクトル、NMRスペクトル、誘電特性、光学特性)については同時にグラフ表示します。 

        MAPS INSPECTORMAPS INSPECTOR

        分子構造やシミュレーション結果を比較、分析する多目的ツールです。列の非表示や行のフィルタリングをすることで、特定のプロパティを持つ分子や原子グループの選択を可能にします。選択した原子、分子のみ表示することで特定の構造を調べることが可能です。 

        DENSITY PROFILE ANALYSIS

        X、Y、Zの軸方向、円筒方向、原点からの動径方向の分子の密度プロファイルを計算し、グラフ化します。 

        POROSITY ANALYSIS

        結晶およびアモルファス周期系の空隙を分析します。 細孔とチャネルを特定し、最大細孔径と細孔径分布を計算します。

        特定物性解析ツール 

        ReaxFF Analysis

        結合の生成、開裂を取り扱うよう設計された力場ReaxFFとL AMMPSを利用して得られた計算結果を解析するツールです。シミュレーション中に生成、分解する分子種を解析し、その分子種の数の時間変化をグラフ化します。また、どのような反応が何回シミュレーション中に起こったかをグラフにすることで、反応中間体や反応経路に対する知見が得られます。燃焼、酸化、重合などの反応シミュレーションの結果を分析して、温度、圧力、組成などのさまざまな因子の影響を調べることができます。 

        Elastic PropertiesElastic Properties

        LAMMPSを使用した分子動力学シミュレーションの結果から、応力/ひずみ曲線を調べ、高分子や固体のヤング率とポアソン比を計算するツールです

        title:{インフラストラクチャ}

        インフラストラクチャ 

        GRAPHIC_ELEMENTS12

        インフラストラクチャ機能能 ~根幹を支える機能~

        さまざまな入出力ファイルのサポート

        SciMAPS上の構造情報はPythonスクリプトを経由してユーザの指定した形でファイルに出力することができますので、SciMAPS上で構築した構造を他のシミュレーションプログラムの入力として利用できます。また、シミュレーションの出力結果もスクリプトを経由しSciMAPS上に読み込めるようになっていますので、SciMAPSがサポートしているシミュレーションプログラムと同様に履歴ファイルの解析が可能です。

        ジョブマネージャ

        ジョブの実行、実行状況のモニタリング、強制終了を行うことができます(リモートジョブを含む)。特殊な条件設定に対応できるよう入力ファイルの編集・実行機能も搭載しています。リモート設定のチェック機能などリモートジョブを実行するのに便利な機能も搭載しています。

        job

        Pythonスクリプト

        SciMAPSでは、ほとんどのGUI機能をPythonスクリプトで実行することができます。これらのGUI機能を組み合わせて自動実行できるよう、SciMAPSにはPythonスクリプトを編集し実行するためのスクリプト機能を搭載しています。この機能を利用すると、同一の設定で多数の計算を実行したり、異なる計算手法を組み合わせた計算手順を自動実行するなど、GUIでは煩雑になる作業を大幅に効率化することができます。

        script

        title:{動作環境}

        動作環境 

        SciMAPSは、Windows、Linuxで利用することができます。 マウス操作、コマンド、設定パラメータはいずれのOSでも全く同じ様に設計されており、 ユーザの利用環境に適したシステムに導入することが可能です。

        対応OS 

        Windows

        ・Windows 11
        ・Windows 10 Professional 

        * Windows Subsystem for Linux(WSL)上で動作します。

        Linux

        ・Red Hat Enterprise Linux
        ・SUSE Linux Enterprise Server
        ・Ubuntu

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