BIOVIA COSMOtherm
(熱力学物性推算ソフトウェア)
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title:{概要}
概要
BIOVIA COSMOthermは、物性推算法COSMO-RS法を用いた熱力学物性推算ソフトウェアです。 任意の化合物や混合溶液の蒸気圧・分配係数など様々な平衡物性を推算することができます。 BIOVIA COSMOthermで使用するCOSMO-RS法は量子化学計算で得られる分子の表面電荷情報と分子統計力学に基づき、溶液中の分子の化学ポテンシャルを算出します。そして、得られた化学ポテンシャルを用いて、様々な平衡熱力学物性を算出します。 オプションとして、種々の溶媒分子を含む約12000種類の有機化合物の電荷分布データを収めたデータベースBIOVIA COSMObase も用意されていますので、量子化学計算の手間を省くことも可能です。
製品紹介動画
製品パンフレット

BIOVIA COSMOthermパンフレット PDF版(2.6MB)
最新版リリースノート
2024年12月にBIOVIA COSMOlogic製品 2025がリリースされました。対象製品はBIOVIA COSMOtherm、BIOVIA COSMOconf、BIOVIA COSMOplex&perm、BIOVIA COSMObase、BIOVIA COSMOquick、ならびにBIOVIA TURBOMOLEです。詳細は以下のリンクのリリースノートをご参照ください。

BIOVIA COSMOlogic製品2025リリースノート(0.9MB)
BIOVIA COSMOtherm関連論文リスト

BIOVIA COSMOtherm関連論文リスト(0.9MB)
ダッソー・システムズ社ウェブサイト
BIOVIA COSMOthermの開発元であるダッソー・システムズ社ウェブサイトもあわせてご覧ください。

title:{COSMO-RS法}
COSMO-RS法
BIOVIA COSMOtherm で使用するCOSMO-RS(Conductor like Screening Model for Realistic Solvation)法は、 1995年にA. Klamtによって提案された新しい物性推算法です。 COSMO-RS法では、まず導電体中の分子モデルを用いて溶液中の分子状態を近似し(COSMO近似)、 溶液内の分子の立体構造や表面電荷密度を量子化学計算により求めます。 表面電荷密度はスクリーニング電荷密度と呼ばれます(右図)。

次に得られた分子のスクリーニング電荷密度を用いて、溶液中の分子間相互作用を評価します。 溶液中の分子間相互作用は分子表面間の接触による相互作用として表します。 具体的に分子表面を小さなセグメントに分割し、それぞれのセグメントが独立に接触・相互作用すると仮定し、相互作用エネルギーを計算します。 相互作用エネルギーは、スクリーニング電荷密度に基づく、静電相互作用や水素結合相互作用、およびファン・デル・ワールス相互作用に基づき算出されます。
相互作用エネルギーの計算は、溶液に含まれるすべての化合物同士の全セグメント間で行い、その統計平均値を算出します。 そして、その平均値から化合物の化学ポテンシャルを算出し、活量係数・溶解度などの熱力学物性を算出します。
COSMO-RS法では、分子構造の情報から直接、熱力学物性を算出することができます。 また、特殊な仮定を用いることなく、有限・無限希釈どちらの場合でも精度良く熱力学物性を予測できます。
title:{機能}
機能
BIOVIA COSMOthermでは以下の物性が推算できます。
●蒸気圧の計算
・純物質・混合物の蒸気圧(分圧)の予測
・指定温度範囲の蒸気圧の自動計算機能
・気化熱の予測
・蒸気圧の実測値を用いた補正
●沸点の計算
・任意の圧力での純物質
・混合物の沸点の予測 蒸気圧の実測値を用いた補正
●溶解度の計算
・任意の温度での液体、固体の溶解度の予測
・塩・錯体・共結晶に対応
・混合溶媒に対応
・実測値を用いた融解熱推算
・QSPR式を用いた融解熱推算
・溶質のpKaと溶媒のpHを考慮した補正
●ガス溶解度の計算
・任意の圧力での気体の溶解度の予測
・混合溶媒に対応
●活量係数の計算
・任意の溶媒中における活量係数の予測
・任意の溶媒組成に対応
・任意の参照状態を設定可能
・温度・組成に対する活量係数の1次微分の計算
●Henry定数の計算
・任意の溶媒中におけるHenry定数の予測
・任意の溶媒組成に対応
・蒸気圧の実測値を用いた補正
・溶媒和自由エネルギーの予測
●分配係数(log P)の計算
・任意の溶媒の組み合わせにおける分配係数の予測
・任意の溶媒組成に対応
・溶質のpKaと水相のpHを考慮した補正
●酸解離定数(pKa)の計算
・水、DMSO、アセトニトリル、ヘプタン、THF中の任意の化合物のpKa予測
・ユーザの実験データに基づく補正により任意の溶媒への適用も可能
●多成分系2相平衡の計算
・任意の化合物の組み合わせにおける相平衡の計算
・任意の温度・圧力の設定
・イオン液体・塩に対応
・液液平衡の探索
・固液平衡の探索
・共沸点の探索(2成分系のみ)
・蒸気圧の実測値を用いた補正
・NRTL、WILSON、UNIQUAC活量係数式パラメータへのフィッティング機能(2成分系のみ)
●状態方程式との連携
・Soave-Redlich-Kwong(SRK)、Peng-Robinson(PR)に対応
・VDW、WS、MHV1混合則に対応
●臨界定数の予測
・純物質の臨界温度、臨界体積、臨界圧の予測
・臨界圧縮係数、偏心係数、温度依存パラメータの予測
●引火点の予測
・純物質・混合物の引火点の予測
・引火点の実測値を用いた補正
●多成分多相平衡の計算
・任意の化合物の組み合わせにおける相平衡の計算
・最大10相系に対応
・気相・固相を各1相考慮可能(残りは液相)
・イオン液体・塩に対応
●密度・粘度の計算
・任意の温度での純物質の密度・粘度の計算
・イオン液体の密度予測に対応
●類似度の計算
・σ-プロファイルの類似度の計算
・σ-ポテンシャルの類似度の計算
・Sigma-match similarity(SMS)の計算
●界面張力・界面自由エネルギーの計算
・任意の温度での気液・液液界面における自由エネルギーの予測
・任意の温度での液液界面の界面張力の予測
・任意の溶媒組成に対応(イオン種を除く)
●反応平衡定数・反応自由エネルギーの計算
・任意の温度における反応平衡定数・自由エネルギーの予測
・任意の溶媒組成に対応 零点振動エネルギー等による補正に対応
●高分子溶融状態への対応
・自由体積理論に基づく補正機能
●イオン液体の各種プロパティの計算
・モル体積、密度、熱容量、エントロピー、融点、臨界ミセル濃度、粘度、電気伝導度の予測
●メソスケールパラメータの計算
・任意の分子・部分構造のFlory-Hugginsのχパラメータの推算
・散逸粒子動力学(DPD)のΔaパラメータの推算
・パラメータの温度・組成依存性の考慮
●スクリーニング機能
・溶解度スクリーニング(純溶媒・混合溶媒に対応)
・共結晶スクリーニング
・イオン液体スクリーニング
●その他
・自由エネルギー、過剰混合エンタルピー、過剰混合エントロピー、および混合熱の算出
・σ‐プロファイル、σ‐ポテンシャル、σ‐モーメントの出力
・スクリーニング電荷密度σの3次元表示VRMLファイルの出力
title:{適用事例}
適用事例
BIOVIA COSMOtherm の適用事例を紹介します。
●気液平衡予測
BIOVIA COSMOthermによる気液平衡の予測事例を以下のリンクのPDFファイルにまとめています。ダウンロードしてご覧ください。 事例として、純物質の蒸気圧予測、2成分系の気液平衡予測、ならびにBIOVIA COSMOthermと状態方程式を組み合わせた臨界点近傍の気液平衡予測を紹介します。
●液液平衡予測
BIOVIA COSMOtherm による液液平衡の予測事例を以下のリンクのPDFファイルにまとめています。ダウンロードしてご覧ください。 事例として、2成分系の液液平衡予測、3成分系の液液平衡予測、ならびに3成分3相平衡予測を紹介します。
液液平衡予測事例
●固液平衡予測
BIOVIA COSMOtherm による固液平衡の予測事例を以下のリンクのPDFファイルにまとめています。ダウンロードしてご覧ください。 事例として、相対溶解度による溶媒スクリーニング、および2成分固液平衡予測を紹介します。
●共結晶スクリーニング
BIOVIA COSMOtherm による共結晶スクリーニング事例を以下のリンクのPDFファイルにまとめています。ダウンロードしてご覧ください。 事例として、9種の医薬有効成分(API)と22~57種の共形成物(CCF)のスクリーニングを紹介します。
●ミセル関連の物性推算
BIOVIA COSMOtherm とオプションツールBIOVIA COSMOplex を用いたミセル関連の物性推算事例を以下のリンクのPDFファイルにまとめています。ダウンロードしてご覧ください。 事例として、臨界ミセル濃度の推算、およびミセル中の低分子分布の推算を紹介します。
●分子膜・上皮透過性関連の物性推算
BIOVIA COSMOtherm とオプションツールBIOVIA COSMOperm を用いた分子膜・上皮透過性関連の物性推算事例を以下のリンクのPDFファイルにまとめています。ダウンロードしてご覧ください。 事例として、分子膜DMPC内の低分子分布・透過性、および上皮透過性の推算を紹介します。
title:{オプションツール}
オプションツール
BIOVIA COSMOthermには以下のオプションツールがあります。
●熱力学物性推算ソフトウェア BIOVIA COSMOquick
BIOVIA COSMOquick は、医薬品の研究開発で重要な熱力学物性をCOSMO-RS法に基づき、簡単・高速に推算するソフトウェアです。BIOVIA COSMOtherm の推算機能のうち、溶解度や共結晶化合物のスクリーニングなど医薬品の研究開発に有用な物性推算機能のみを搭載し、ワークフロー形式の簡単な操作で物性推算が行えます。また、BIOVIA COSMOquick には、分子の表面電荷情報を作成する機能(COSMOfrag 機能)が含まれていますので、量子化学計算を行わずに高速に化合物の物性推算が行えます。
BIOVIA COSMOquick の物性推算機能は以下のとおりです。
・溶解度推算
・分配係数推算
・QSPRモデルによる融点・融解熱の推算
・溶質バックフィッティング
・共結晶・溶媒和物スクリーニング
・高分子や溶媒へのガス溶解度やヘンリー定数の推算
・Hansenの溶解度パラメータの推算
・ADME物性推算
・記述子計算とQSPRモデル構築
●分子表面電荷データベース BIOVIA COSMObase
BIOVIA COSMOthermの計算に必要な分子の電荷分布データ(COSMOファイル)が12000種類以上の分子について収録されたデータベースです。 例えば、多くの溶媒について溶解度をスクリーニングする場合には、それら全てのデータが必要となるため、本データベースが有用です。
●配座解析ソフトウェア BIOVIA COSMOconf
BIOVIA COSMOtherm で精度良く物性推算を行うために必要な配座異性体を得るための配座解析ソフトウェアです。 以下の機能を用いて、効率的な配座解析を行うことができます。
・多目的遺伝的アルゴリズム(Balloon)やRDKitを用いた配座発生
・分子表面電荷の類似性による配座のクラスタリング
・各種溶媒中の化学ポテンシャルによる配座のクラスタリング
・BIOVIA TURBOMOLEの計算設定・制御機能
・リモートジョブ実行制御機能
●自己組織化構造予測ソフトウェア BIOVIA COSMOplex
ミセル、マイクロエマルジョン、および分子膜など自己組織化構造をCOSMO-RS法に基づき予測するソフトウェアです。COSMO-RS法に基づくため、高速に構造予測が可能です。また、BIOVIA COSMOplex は以下の物性推算も行えます。
・臨界ミセル濃度
・界面張力・表面張力
・ミセル・分子膜内外の分配係数
・ミセル・分子膜中の低分子の化学ポテンシャルや分布
●分子膜透過性推算ソフトウェア BIOVIA COSMOperm
低分子の分子膜や皮膚透過性を推算するソフトウェアです。 BIOVIA COSMOplex、あるいは分子動力学シミュレーションで得られた分子膜構造を用いて、低分子の膜透過性をCOSMO-RS法に基づき推算します。また、BIOVIA COSMOpermは以下の物性推算も行えます。
・低分子の分子膜透過性
・低分子の上皮透過性
title:{動作環境}
動作環境
BIOVIA COSMOtherm、および関連製品は以下のプラットフォームで動作します。詳細はお問い合わせください。
・Microsoft Windows 10
・Microsoft Windows 11
・RedHat Enterprise Linux 8.x, x ≥ 6
・RedHat Enterprise Linux 9
・Rocky Linux 8.x, x ≥ 6
・Mac OS 11.7 or later
CPUは、Intel、またはAMD 64ビットCPUに限られます。
title:{対応量子化学計算ソフトウェア}
対応量子化学計算ソフトウェア
BIOVIA COSMOtherm で必要となる分子の表面電荷分布データは、量子化学計算ソフトウェア BIOVIA TURBOMOLE のほか、以下のソフトウェアで作成することができます。
・BIOVIA TURBOMOLE (ダッソー・システムズ社)
・Molpro (ver. 2006 or later, TTI GmbH社)
・Gaussian 16 (Gaussian社)
・Gaussian 09 (Rev.C.01 or later、Gaussian社)
・Gaussian 03 (Rev.B.03-C.02、Gaussian社)
・DMol3 (ダッソー・システムズ社)
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